子供の空想
今、小学一年生のちび兄。
保育園年中の時に、とても仲良しの友達がいました。
作り話がとても上手なカイくん(仮名)。
「ほいくえんのおにわにある、おおきなきには、
おもちゃがとりほうだいの、くうかんにつながるあながあって、
うまくやると、おもちゃのせかいにいけるらしい」
って、カイくんが教えてくれた、
と年中のちび兄は、真面目な顔をして、小声で教えてくれました。
ちび兄と他数名は、連日、その木に何度も向かって
空間の向こうに通り抜けるべく、チャレンジを続けました。
「きょうは、スピードがたりなかったかもしれない」
「こんどは、かくどをかえて、やってみる」
連日の真剣な挑戦もむなしく、とうとう、ちび兄は
向こうの世界に行くことができませんでした。
「カイくんや、ほかのおともだちは、むこうにいけて
おもちゃをもらったっていうのに
どうして、ぼくだけいけないんだろう」
本気で悔し涙を流すのです。毎日毎日。
とうとう私は、
「カイくんは、だったらいいな、って話をしてるんじゃない?」
って、言ってしまいました。
しかし、
「ちがう、ほんとなんだよ、だって、
カイくんがホントだっていってたもん!」
と、ゆずらないのです。
(カイくんが言ってたから本当って笑)
この話は、結局、エスカレートし、いざこざになり、
担任の先生の介入によって、作り話だった、
ということをカイくんが認めることになったのですが
「どうしてカイくんはウソついたんだろう?」
と、ちび兄は何度もつぶやいていました。
カイくんや、他の友達は、ホラ話と分かって楽しんでいたんだろうか?
ちび兄が、本気で信じこんでいることに、どう思っていたんだろうか?
今でも分からない話です。
*****
こんなこともありました。
手紙の交換が流行っていた時期です。
ポケモンのバトリオをカイくんにあげたいというので、
大好きなお友達に一個プレゼントをあげるくらいなら
いいでしょう、と許可したら、
次の日も、その次の日も、もっとあげたい、というのです。
「これはあげたくないけど、あげなきゃいけないんだ」
真剣な泣きそうな顔をしているので、私が止めると、
今度はこっそり保育園のカバンに隠して、持っていこうとするのです。
これは怪しい、と聞き出すと、
「だって、バトリオあげたら、まほうのこなをくれるっていったもん。
でも、まえにバトリオあげたのに、ぜんぜんくれないんだ」
「魔法の粉、本当はないんじゃないの?」
「ホントに、あるんだよ、
だって、カイくんがホントだっていってたもん!」
あくまでも、母より、信用の厚いカイくん笑。
そのころにはカイくんのお母さんとも仲良くなっていたので
どうしたもんだかねー、って話をして、
結局、あげたポケモンのバトリオは返してもらうことになりました。
でも、魔法の粉はあると、ちび兄は最後まで信じていて、
バトリオと交換にくれなかった、という事実に
深く傷ついていたようなのです。
カイくんは、持っていない仮面ライダーオーズの
オーメダルや玩具を全部持っているって言って、
ちび兄をよくうらやましがらせたりもしていたっけなぁ。
*****
ちび兄は、空想の作り話を語ることが、全くない幼児でした。
ぬいぐるみなどで、ごっこ遊びをすることはあったし、
想像の敵と戦って遊ぶことはあったし、
寝る前の創作物語は、毎晩お話として楽しんでいました。
でも、友人がホラ話をしているかもしれない、
ということは、全く考えつかない子供でした。
作り話だと分かったら、
「どうしておともだちはウソをついたんだろう?」
と、悩みました。
そのたびに、
「嘘じゃなくて、だったらいいな、のお話だったんじゃない?」
って、私は言ってましたけど。
今は、どうなんでしょうね?
お友達の空想話、笑って楽しめるようになったのかな?
*****
年中のちび弟は、今朝もカービィ他、家のぬいぐるみを
保育園のかばんに詰め(たつもりになって)て、
登園しました。
ぬいぐるみ達は、かばんに隠れたり、
園庭で遊んだりしているそうです。
でも、ちび弟は、それは空想だと自分で分かっていて
私以外の人には、ナイショにしているようです。
*****
空想を一人だけで楽しむ子供もいれば、
みんなにホラを語り楽しませる子供もいて、
一緒に空想で遊べる子供もいて、
作り話であることに気づかずに信じ込む子供もいる。
ちびっこって、いろいろだなぁって、今更ながら思うのです。
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